MM2Hについて

マレーシアの長期滞在ビザ・MM2Hとは

マレーシアには、「MM2H」(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)という長期滞在ビザ取得プログラムがあります。マレーシア政府が推進している制度で、取得には一定の条件を満たさなければなりません。その昔は「リタイアメントビザ」とも呼ばれていましたが、今では年齢制限がないので若者でも取得可能です。そんな「MM2H」ビザの特徴、取得方法などをここで詳しく見ていきます。

MM2Hの10の主なメリット

マレーシアの長期滞在へ向けての第一歩になるのが、「MM2H」になります。マレーシア・マイ・セカンド・ホームという、なんとも目的にマッチングしたフレンドリーなネーミングです。とはいえ、マレーシア政府発行の公式のビザで、これがないとマレーシアでのロングライフを楽しむことができません。

日本国籍の方で観光などでの滞在は、他の国・地域と同じように90日以内であれば、パスポートに6カ月以上の残存期間があればビザなしでOKです。90日を超える滞在には、就労関連などの各種のビザ取得が必要になります。長期滞在用の「MM2H」はマレーシアの目的別の数あるビザのうちの一つです。

MM2Hビザのメリット

  1. マレーシアに10年間住むことができ、延長申請で10年以上も可能になる
  2. 出入国に関しての制限がなく、滞在の義務もない
  3. マレーシアに銀行口座を持てる
  4. 住宅購入ができる(50万リンギット以上)
  5. 日本からマイカーを免税で持ってくることができる(※1条件あり)
  6. 週20時間までの就労ができる(※2条件あり)
  7. 家族同伴も可能
  8. 政府の規定に従って投資もできる
  9. 定期預金は利息の優遇や免税
  10. 年金の税金が免除される

※1=新車以外でビザ取得者名義の車を6カ月以上保有していることが条件
※2=専門技術を持っているなど50歳以上が対象

「MM2H」が導入される以前にも、マレーシア政府が長期滞在ビザを発給していました。政府の経済的な事情もあり、規定や方針が短期間で変わるなど不評でした。観光でビザなしの90日以内での出入国を繰り返す手もありますが、マレーシアでは「3アウトルール」が適用されます。ビザなしでは年間2回までの入国で計180日間の滞在が限度となり、3回目の入国が拒否される可能性が高くなります。

MM2Hの取得方法は経済的条件が全て

それでは、「MM2H」の取得方法を見ていきましょう。基本的には日本を含むマレーシアと国交ある国・地域の方なら、誰でも取得することができます。年齢、性別、宗教なども一切関係ありません。ただし、所有している財産の最低額が決められており、経済的な証明が必要になります。

MM2Hの取得条件

50歳未満の場合

  1. 50万リンギット(約1,300万円)以上の財産証明が必要
  2. 月額1万リンギット(約26万円)以上の収入証明が必要
  3. 仮承認後、30万リンギット(約780万円)をマレーシアの金融機関に定期預金する

50歳以上の場合

  1. 35万リンギット(約910万円)以上の財産証明が必要
  2. 月額1万リンギット以上の収入証明、または※1年金証明が必要
  3. 仮承認後、15万リンギット(約390万円)をマレーシアの金融機関に定期預金する

※=1リンギットは26円(2016年7月24日、東京市場終値)で計算
※1=年金証明は基礎年金の他、厚生年金と政府が承認した企業年金も含まれる

同行者の条件

  1. 申請者の配偶者
  2. 21歳未満の未婚の子ども(両親の保護が必要な21歳以上の子どもも可能)
  3. 60歳以上の両親(代表者の両親のみ)

財産証明は預金や有価証券も含まれます。預金などの残高証明の場合、申請時からさかのぼって3カ月間、各月の規定額が預金されている証明が必要になります。例えば2016年7月に申請した場合は同年の7月分、6月分、5月分です。収入証明は収入が記載された銀行口座の書類を提出します。

財産証明などの書類に不備がなければ、審査を経てから仮承認されます。仮承認後、今度は医療関係の各種手続きに入ります。マレーシアの医療機関で健康診断を受け、マレーシアの保険会社で医療保険に加入します。年齢などの問題で医療保険に加入できなかった場合は、保険会社から理由などを明記した書類を作成して提出することになります。

定期預金は2年目以降に医療費、住宅の購入、同行した子どもの教育費を目的に引き出すことができます。50歳未満は15万リンキッド、50歳以上は5万リンキッド(約130万円)まで可能です。ただし、注意が必要で引き出すことができるのは一度だけです。日常生活の決済などは、別の口座が必要になります。もちろん、MM2Hプログラムを終えて帰国する際は全額引き出すことができます。

サラワク州のMM2Hの申請は50歳以上が対象で最長5年の滞在

マレーシアには、日本と異なった独特の行政区分があります。ボルネオ島にあるマレーシア領の西側3分の2を占めるサラワク州です。同州はマレーシア国内でも独立性の高い自治権を有しており、マレーシア国民でも行き来の際にはパスポートが必要になります。首都のクアラルンプールから飛行機で1時間45分ほどかかります。

総面積の半数以上が未開の地で、世界遺産の「グヌン・ムル国立公園」を擁する神秘な熱帯雨林が有名です。先住民族の文化に触れ合うことができる地域です。その昔は「首狩り族」がいたことで有名な地域でしたが、今ではそのような風習はありません。自然豊かな静かな地域なので、どうぞご安心ください。

サラワク州のMM2Hビザの取得条件

  1. イスラエル、モンテネグロ国籍以外の方なら申請が可能
  2. 年齢は50歳以上が対象。配偶者と同時に申請する場合は、配偶者の年齢制限はない
  3. ・単身者はマレーシアの金融機関に10万リンギット(約260万円)の定期預金が必要
    ・夫婦はマレーシアの金融機関に15万リンギット(約390万円)の定期預金が必要
  4. ・単身者はマレーシア国外の月収証明が7、000リンギット(約18万2,000円)以上の証明書が必要
    ・夫婦はマレーシア国外の月収証明が1万リンギット(約26万円)以上の証明書が必要
  5. 保証人が必要でサラワク州在住者(永住許可証所持者を含む)が条件。土地公社、観光省に勤務する個人・団体は保証人になれない

この他の条件については、マレーシア本国とほぼ同一です。最も違うのはマレーシア本国のMM2Hプログラムビザが10年に対し、サラワク州は半分の5年になることです。日本人のマレーシア本国でのMM2Hプログラムビザ利用者が、サラワク州に観光などで訪れることはできます。ボルネオ島のマレーシアのもう一つの州であるサバ州のMM2Hは、マレーシア本国とほぼ同じ内容の条件です。

MM2H利用者をデータで見てみる

MM2Hプログラムビザの利用者は、定年後のリタイア世代が多いのも特徴になっています。しかし、最近では30~50歳代の世代が増えています。IT関連を含めた勤務体系の多様化も顕著になっているからです。インターネット環境が整備されていれば、パソコンだけで仕事や取引が完結する職種も多くなっています。ひと昔前に自宅の周辺に事務所を開設して仕事を行う「サテライトオフィス」のような感じです。

若年世代である程度の資産形成をした方々も多くなっています。マレーシアは①物価が安い②インフラが整っている③治安が良いーなどの理由が挙げられます。日本からマレーシア・クアラルンプールまでは飛行機で7~8時間ほどです。新千歳・成田・羽田・中部・関西の各空港から直行便が就航しています。時差は日本時間-1時間というのも、行き来に負担が少なく魅力の一つになっています。

実際のMM2Hプログラムビザを利用した各種データを見てみます。マレーシア政府の関連機関「Malaysia My Second Home Program」が公式ホームページ上で公表しているMM2Hのデータです。それによると、では現在は各国から29,814人(2016年4月現在)がMM2Hの利用者になります。2016年には30,000人を突破する可能性が濃厚になっています。
=【表1参照】

2002年までの過去15年間で、伸び率が最も高かったのは2010年の1,499人から2011年の2,387人の63%の伸び率になっています。しかし、2013年の3,675人をビークに2014年3,073人、2015年2,211人と2年連続で大幅に減少しています。
=【表1】参照

【表1】
MM2H取得状況

【表2】
MM2H利用者の多い国
引用:Malaysia My Second Home Programe

【表2】はMM2H利用者の多い国・地域のトップ10になります。1位は中国で2002年からの累計で7,088人を数えています。2014年の1,307人をピークに翌2015年が719人と半分近くに落ち込んでいます。これは、中国経済の伸び率の停滞が顕著に出始めた時期とほぼ同じで、景気に左右されたことがうかがえます。

日本は2011年に423人で前年の2倍以上を記録。2012年にも816人で2倍近くの伸び率となりました。2011年3月の東日本大震災の影響もあるかと推測されます。しかし、円安傾向も強まり、2014年に428人、2015年に300人と落ち込んでいます。今後、為替の円高トレンドが形成されれば、再び増加となることが予想されます。

MM2Hのそのほかの魅力

ロングステイ財団によると、マレーシアは2006~2014年までロングステイの希望先として9年連続で1位になった国です。前述したように物価の安さや治安の良さもありますが、自然災害とほぼ縁のない地理的な状況もあります。断層が通っていないので地震が発生する可能性がかなり低いのです。台風の進路からも外れています。内戦が勃発する可能性もなく、安心・安全な国として世界から注目されています。

公用語はマレーシア語ですが、中国語もほとんどの人が話せます。マレーシアでは小学1年から英語教育を始めます。その前の幼稚園の段階から取り入れている教育機関もあります。マレーシアは、2020年に先進国入りを目指しているので、言語のグローバル化が国家レベルで進んでいるのです。なので、最近では英語もかなり通じるようになりました。

MM2Hプログラムで家族そろってロングステイというのも、今後は増えていくと予想されます。例えば米国の大学などに留学させた場合、返済不要の奨学金を利用しても年間で150万円以上はかかります。それなら、多民族・多言語のマレーシアの環境の中で子育てをした方が得策でもあるからです。もちろん、世界屈指の親日国家というのも大きな魅力です。