近年、「外資系企業で働きたい」「自身の語学力を仕事でも活かしたい」「仕事の幅を海外にも広げたい」といった様々な理由から、海外インターンシップに参加する大学生や社会人が増加しています。また、語学留学だけにとどまらない次のステップとして、海外インターンを選択する人も多く見られます。そこでこの記事では、「海外インターンシップってなに?」「海外でどんな経験ができるのか知りたい」という人に向けて、海外インターンシップについて詳しく解説していきます。海外で働くことに少しでも興味があれば、ぜひ参考にしてみてください。
海外インターンシップとは
海外インターンシップとは、就労体験を積むことを目的に、海外の企業で一定期間働くことを指します。海外留学が主に語学力アップを目的としているのに対し、海外インターンシップでは一定レベルの語学力を前提として、実際に海外企業の一員として働くことが求められます。つまり海外インターンシップでは「クライアントと交渉する」「店舗の売上を改善する」といった、実践的な経験を海外で積むことができます。このような側面から就職活動の前に海外で働く経験をしたい大学生や、キャリアアップを目指す社会人が主な参加者となっています。
無給インターンと有給インターン
そしてこの海外インターンシップでは、労働に対して給料が払われない「無給インターン」と、給料が支払われる「有給インターン」が存在します。
無給インターン
まず無給インターンに関してですが、このインターンでは海外での仕事を「体験する」という側面が強くあります。そのため、企業の戦力としてバリバリ働くというよりも、職場体験といったイメージをしておくのがいいでしょう。労働に対して給料は支払われないので、特別なスキルが必要ない簡単な仕事を任されることが無給インターンでは多いです。しかしこれは言い換えると、高い語学力や専門的なスキルがなくても参加できる海外インターンだということ。そのため「少しでいいから海外で働く経験をしてみたい」「語学力に不安はあるけど、チャレンジしてみたい」という人におすすめのインターンシップになります。
無給インターンの例としては、ホテルのフロントを体験するプログラムや、カフェやベーカリーの店員として働くプログラムなどがあります。
有給インターン
次に有給インターンに関してですが、こちらは労働に対して給料がきちんと支払われる、いわば企業の戦力として働くことが求められるインターンシップです。そのため、一定レベル以上の語学力が必要とされ、企業によっては「日本での数年間の就労経験」が必須条件になる場合もあります。企業側も「従業員を採用する」という姿勢のため、有給インターンシップに挑戦するにはある程度の準備をする必要があるでしょう。
有給インターンシップの例としては、外資企業も日系企業も選択肢は幅広く、業種も飲食、ホテル、出版、広告など多岐にわたります。業種に関しては、日本での就職・転職活動とほぼ同じという認識でよいでしょう。
海外インターンの期間
次にインターンシップの期間について。当然インターン先によって期間は異なってくるのですが、大まかに言えば「無給インターンは短期間」「有給インターンは長期間」になる場合が多いです。
その理由としては、無給インターンの場合は専門的なスキルを必要としない分、仕事が単調なものになりやすいから。また受入企業もインターン参加者を「職場体験」として受け入れている場合が多いからです。
そのため無給インターンシップでは、短い場合だと1週間、長くても3ヶ月程度の期間で実施されるケースがほとんど。給料は支給されませんが、短い期間でも参加できるため、夏休み期間の大学生や、少しまとまった休みがとれる社会人が主な参加者になります。旅行会社からインターンシップ体験のできるパックツアーが販売されているなど、気軽に参加できるプログラムが多いのもポイントです。
反対に有給インターンシップについては、企業側も「戦力」としてインターン参加者を受け入れているため、インターン期間は半年〜数年の長期間になることが多いです。実際にビジネスに関わっていくので、まとまった期間での参加が求められます。長期のインターンシップでは、大学を休学して参加する学生や、真剣に海外で働くことを視野に入れた社会人が、キャリアアップのために参加するケースが多いです。長い期間じっくりと腰を据えて働くので職歴としても認められるでしょう。
海外インターンに必要なスキル
インターンシップによって差はありますが、海外インターンでは語学力や就労経験など、参加に際して一定のスキルや条件が課される場合があります。また美容師やネイリストといった美容系のインターンシップでは、専門学校を卒業していることが条件なこともあります。海外インターンへの参加を検討する際には、自分のスキルや経験が条件に合っているかを確認することも重要です。
必要な条件の例
- TOEICの点数
- ワーキングホリデービザの取得
- 数年間の就労経験
- 大卒・高卒などの学歴
海外インターンに必要な予算
海外インターンシップに参加するために必要な予算はもちろん参加するプログラムによって様々です。ただ海外インターンをするにあたっては、仲介エージェントを通して企業との連絡や調整をすることがほとんどです。そのため渡航前の費用としては約50〜100万円が必要な場合が多いです。渡航後に必要な費用は、インターンシップが有給か無給かによって大きく変わってくるでしょう。
渡航前にエージェントに支払う金額の内訳としては、以下のようなものが考えられます。
- インターン先を決めるための相談、コンサルティング料
- インターン先企業の紹介、面接の調整
- 英文のカバーレターや履歴書の添削、作成
- 出発前のオリエンテーション
- その他アドバイス
など
その他必要な費用としては、以下のようなものが挙げられます。
- 往復の航空券
- 現地での家賃
- 食費など生活費全般
- 海外傷害保険
- ビザ申請費用
など
海外インターンで選ばれている国
海外インターン先として選ばれているのは、アメリカ・カナダ・オーストラリアといった英語圏が中心。語学力に不安がある場合は、まず語学学校などで勉強した後にインターンシップに挑戦する人も多くいます。大都市であれば日本人のコミュニティも多く存在するので、インターン中にトラブルに巻き込まれた際などは、近くに相談できる日本人がいれば安心かもしれません。
また短期間のインターンシップでは、カンボジアやタイなど、アジアの国々へインターンするケースも多いです。日本から近く物価も安いことから、学生を中心に選ばれています。アジア圏でのインターンでは貧困問題解決のためのNPOや教育機関での子どもたちの支援などが比較的多く見られます。
インターン先の例
- アメリカ
- カナダ
- オーストラリア
- ニュージーランド
- ドイツ
- マレーシア
- タイ
- カンボジア
- フィリピン
海外インターン参加後の進路
海外インターンシップ参加者は、その経験を活かして様々な進路を選択しています。インターンシップ終了後もその国に残って就職する人もいれば、日本に帰国後、インターンの経験を活かして海外事業部で働く人など様々。学生のうちに海外インターンに参加して視野を広げ、その後の就職活動に活かしているケースも多く見られます。
海外インターン後の進路の例
- 学生時代に海外インターンへ参加、その後外資企業に就職
- アメリカのアパレル企業で経験を積み、帰国後レザーを扱う職業に就く
- 日系企業の海外支店へインターン、その後日本の海外事業部へ就職
また海外インターンシップ期間を有意義に過ごしているのは、強い目的を持ってインターンに参加した人たちです。「英語を使って、不自由なく仕事ができるようになりたい」「外資企業への就職を見据えて、本格的な就労体験を積みたい」など、強い意志を持ってインターンに参加することが成功の秘訣だといえます。