アメリカンカリキュラムについて

アメリカンカリキュラム

APなど、高校アメリカンカリキュラムについて 

「AP(Advanced Placement)」とは、アメリカの高校や、アメリカンカリキュラムを採用する世界各国のインターナショナルスクール高等部で行われている、テストとそのためのプログラムの総称です。その名の通りAdvanced(上級)なプログラムで、レベルはアメリカ大学1,2年生程度。APの成績によっては大学での基礎課程の単位取得が免除され、大学入学後に直接2年生からスタートさせることができます。各国のインターナショナルスクール高等部では、それぞれ様々なカリキュラムを採用しており、AP採用校と、そうでない学校(主に国際バカロレア「IB」採用校)があります。

アメリカの大学入学準備

アメリカの高校と大学のシステムの全体像をとらえることで、APの役割や難易度も理解しやすくなります。

アメリカ大学入学に最も大切な「高校の成績」

アメリカ大学出願時に必要なテストとして有名なSATやACT。特にSATに関しては大学入学を希望する全ての学生が受験しますが、このテストの点数よりも重要視されるのが高校在学中の成績です。高校での成績は、一律5段階評価の4などと評価されるのではなく、「厳しいカリキュラムの4」や「平凡カリキュラムの5」など、成績の具合が一目でわかるように非常にシビアにつけられています。そのため、高校4年間の成績は「厳しい(rigorous)カリキュラムでトップクラスをキープ」する必要があります。つまり、4年以上かけて大学入学の準備をしなければ、超難関大学への入学は非常に難しくなります。

義務教育であるアメリカ高校

ところがアメリカの高校は義務教育ですから、学生は基本的には地域の公立高校へ進学します。地域により学校間の教育レベルの差があるのは日本同様で、教育熱心な地域へ住むことは必須ですが、それに加え、より高度に学べるカリキュラムを求めることになります。

APは高校教育の最高峰

そこで登場するのがAPです。APでは高校生にもかかわらず大学レベルの教科学習が叶うため、それを修了しテストでハイスコアを獲得することは、大学申請時にも非常に有利でよいアピールになります。APは通常、そのための授業の受講と、5月に行われる最終テストのスコアがセットです。(事情によりテストだけ受けるケースもあります)

ただ、高校でAPを受けるには、その時点で既に成績がトップクラスである必要があります。中学のうちから学校でトップレベルの成績を保持しつつ、夏休みにもアカデミックキャンプなどで、学校通常カリキュラムよりも先へ先へと進むことで、高校でできる限り早くAPの授業を受け始めるなど、何年もかけて大学受験の準備を整えるのは、アメリカ超難関大学を目指す子供たちなら当たり前のことです。つまり一部の熱心な学生たちにとって、APへの準備は中学の頃から始まっています。

APの取得時期や科目

APは一定の基準を満たした学生のみ受け入れる高度なカリキュラムであるため、その授業を受けるための学力の確保は必須です。それと共にどの授業を受けていれば大学入学に有利か、大学での単位認定なども考慮したうえで計画を練っておく必要があります。

科目やレベル

APは高校9年生~12年生で受講するプログラムです。教科名に「AP」とついているものが、APの科目です。APの科目にはそれで完結するもの、続きのコースがあるものレベルアップクラスがあるものなどいくつかのバリエーションがあります。(正式名称としても通称としても、単独コース、セットコース、などのネーミングはありません)

単独
コース名に数字も記号もついておらず、レベルも分かれていません。
科目例
AP Environmental Science/AP Human Geography
セット
コース名最後の数字でレベルがわかり、この場合、Ⅱの取得にⅠの修了が必須です。
科目例
AP Physics I/AP Physics II
段階別
コース名最後のアルファベットでレベル分けされています。ABよりBCの方が高度です。
科目例
AP Calculus AB/AP Calculus BC

授業の受講は高校の時間割に従っておこないます。例えばHuman Geographyであれば9年生で受講し、5月に最終試験受験。APの中でも特に上級なCalculus BCは12年生で受講し、5月に最終試験受験。など、受講する学年は科目により異なります。

授業の受講方法

学校によりシステムは異なりますが、AP科目の授業を受講するためには、そのためのテストに合格するか、中学の時に受けた統一テストの成績が必要です。

授業は通常Ⅰを受講した後にⅡを受講します。或いはABを受講した後にBCを受講します。ただ、飛び級の感覚をもって、できる限り高度な教育を求める人達のためのカリキュラムですから、あらゆる事情に対応できるように作られているのも事実です。

そのためもあってか、受講の順番や原則は各学校へ一任されているのが現状です。数学の成績が優秀でも微分積分をABから履修しなければいけないと定めている学校もありますが、その場合はその必要が本当にあるのかどうか学校側と相談しながら決定する必要があります。逆に最初から、BCの受講にABの受講が義務付けられていない学校もあります。

APのホームページ(http://apcentral.collegeboard.com/)にも「何か心配がある場合は学校カウンセラーに相談しましょう」と書かれています。どのような事情も高度な教育を受ける権利を妨げる理由にはならない、と考えるところはアメリカらしいところかもしれません。

5月の最終試験

ほとんどの科目で4割~5割が選択問題、5割~6割が論述式問題です。知識を問う問題ではなく、図表や資料を読み取り、それを分析し、根拠を明示しながら論文を書きます。テスト本番では、それまでに培った論理的思考と十分な知識を元に分析を行います。知識問題ではありませんが、その場で見て考えるだけでは解ける問題ではありません。

2016年の国語(英語)の論述問題で出題された3題は以下の通りです。

問題形式

問題内容
1.複合問題(55分) 6つの資料(記事引用とグラフ)を参考に、そのうちの3つを対比させ、英語圏に住む英語話者(モノリンガル)は、非英語圏出身のバイリンガルよりも不利かどうかを考察せよ。

2.修辞法問題(40分)
サッチャー元首相がレーガン元大統領へ伝えた賛辞内で使用している、修辞法の活用意義について解説せよ。

3.論証問題(40分)
オスカー・ワイルドの残した名言に、どの程度同意するか、自らの経験や過去に読んだ文献内の例を用い論述せよ。

最終試験のスコア

5段階評価です。4か5(大学によっては3)をとれれば、大学で単位として認められます。つまり、4点以上とれば、大学レベルの学習をこなす能力があることを証明できるということです。ただ、多くの大学でこの制度を活用できるものの、超難関名門大学ではこのような制度は導入していません。

最終試験受験の条件

勝負できるスコアをどの教科で獲得できるか、自分なりに見当を付けてAPの授業を受けるのですが、その上で尚、ハイスコアを確保できるもののみテストを受ける、ということも可能です。APは大学へアピールするための手段ですから、自分をよく見せるためにはどのようなスコアを準備する必要があるのかを、常に考えておく必要があります。

理系であっても必ずしも、理系教科である科学、物理、化学、生物全てのスコアが必要なわけではありません。受験の際に重視されるのはAPのスコアだけではなく高校の成績でもありますから、APの準備段階とされるHonorsでいい成績をとれていればAPの最終試験の成績は必要ない場合もあります。

このようにAPの科目選択をする際にはかなり先を考えての情報収集と分析が不可欠です。そのため、この膨大な量の情報を自分だけで抱え込まず、カレッジカウンセラーにこまめに相談することが必要です。

アメリカンカリキュラム故、アメリカ大学進学が原則

APが有利なのは、あくまでもアメリカ大学出願時です。その他英語圏の大学出願には関係ありません。単位認定もありません。というのも、アメリカ大学は1,2年生が「一般教養課程」、つまり入門講義ばかりである故に、優秀な高校生が高校のうちに取得したAPスコアも単位として認めてもらえるのです。

逆にイギリス大学は1年生からいきなり専門課程です。そのためイギリス以外の高校卒業生のために、1年間の「一般教養課程学習期間(ファウンデーションコース)」を設け、大学入学前にそこで基礎課程を済ませる仕組みとなっています。

通常日本人学生は、インター卒であってもIBDP取得者以外はそこで一般教養を学習してから、学部入学することになります。そのかわり、大学入学後は順調にいけば3年で卒業です。

大学の授業にそもそも基礎課程がないのは、イギリスの高校生が高校の間にこの課程を済ませているからです。ところが国によっては、特にヨーロッパ以外の学校では大学入学後に基礎課程履修を行うため、学習内容に違いが生じ、ファウンデーションコースで調整せざるをえないのです。

APのメリットとデメリット

大学進学準備プログラムとしてもっともよく引き合いに出されるIBDP(国際バカロレア)カリキュラムと比べた場合、お互い長所と短所があります。

項目 AP IBDP
科目選択 理系は理系学科のみ取得可。受講数も自由 理系文系関係なく6分野での授業取得が必須
科目数 学校間での取得可能科目数に大きな差 IB校は取得科目すべてがIBカリキュラム
期間 一つの科目の受講期間は1年のみ 一度決めたら2年間は科目を変えられない
成績 試験が毎年5月一度きり(再受験も可能) 年度途中に複数ある評価を最終スコアに可算可能
認知度 アメリカでの認知度が抜群(アメリカ以外では使えない) アメリカの大学では認知度が低い(アメリカでも全く使えないわけではない)

APを十分に生かしきるために

APはよりよいアメリカ大学進学を実現してくれるハイレベルプログラムです。アメリカ現地高校では地域により取得できる科目にばらつきがあるものの、アメリカンカリキュラム採用の、諸外国インターナショナルスクールでは充実したAP授業を準備してある学校が多くあります。

特に教育熱心な一部アジア諸国のインターナショナルスクールでは、欧米大学進学のノウハウを蓄積していますから、そういった学校へ通い、カウンセラーと入念に計画を練ることができれば鬼に金棒です。優秀なだけでは成し遂げられないアメリカ超名門大学進学を可能にしてくれる「ノウハウ」を使うことは、成功に不可欠です。

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